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Grease Luburication Guide

グリースの種類、使い分け、使い方ガイド

機械の性能や寿命を最大限に引き出す上で大切なことってなんでしょうか。 地味ながらあなどれない要素に、適切な潤滑、油をきらさない、ということがあると思います。 エンジンオイルには結構気を使う方も多いですが、車にはそのほかにも潤滑を必要とるする場所がたくさんあります。 そんな中にはオイルのような液体で潤滑できない部分も多く、そういう部分にはグリースが用いられます。 シャーシや駆動軸など、普段目にする部分ではないので、おろそかになりがちですが、こうした部分の潤滑、グリスアップが いきとどいたマシンは、どことなくいきいきとしてくるものです。 しかし、あまりに色々な名称のグリースが商品として出回っているため、どれをどこに使っていいものか、何を買い揃えるべきか、どのように使い分けるべきか、などなど違いが正直よくわかりません。

おそらく、グリースをとっつきにくくしている最大の原因は、グリースの名称や分類のテキトーさからくる煩雑さなのではないかと思います。 例えば、ホームセンタや自動車工具店にいくとたくさんのグリースが商品としてならんでいます。 シリコングリース、モリブデングリース、シャシグリース、万能グリース、スプレ-グリース ブレーキ鳴き止めグリース、ラバーグリース、カップグリース、ベアリンググリース たくさんあって、どれを買っていいかわからない訳ですが、増ちょう剤の分類では実はここにあげたグリースは全部リチウム石鹸グリースだったりもします。 シリコングリースは潤滑油(基油)の名前から、モリブデングリースは添加剤の名前から、シャシグリースは使用する場所の名前から、万能グリースは使用目的から、スプレーグリースにいたっては 使用形態からと、そのネーミングにはほとんど統一的なルールがありません。このため、必要以上にグリースの種類や使い分けが複雑かのうような印象をあたえてしまっていますが、 実際にはグリースの性格・性能を決める本質的な要素は2つないし3つしかありません。ホームセンタにならぶ様々なグリースのバリエーションは、使用目的に応じてこの調合をチューニングしたものに他なりません。だから、モトネタになっている素材のおおまかな特徴・優劣をおさえると、各種グリースの特徴や使い方も見えてきます。適切なグリース選択のための実践的知恵として知っておくべきポイントを整理してみました。

■グリースの分類:

グリースは粘度を調整して半固体にしたオイルです。だから基本的には潤滑のためのオイル(基油)とオイルを半固体にして保持しておくための物質(増ちょう剤)の組み合わせから成っています。これにさらに使用目的や使用環境に応じて性能や特性を強化するために添加剤が配合されることがあります。つまり、この三つの要素でグリースの性格が決まってきます。

① 基油

潤滑剤、つまりオイルそのものですから、潤滑性能を左右します。普通のグリースの多くは鉱物油が基油となりますが、潤滑対象となる物質との相性により使い分けられます。代表的な例はゴムを含んだ部品に使うグリースです。グリースやオイルの選択ではゴムや樹脂への攻撃性に注意する必要がありますが、その性格を決めるのもこの基油の性質です。ラバーグリース、カップグリースなどの名称でブレーキシリンダなどゴム・樹脂対金属用のグリースが売られています。ラバーグリースにはゴムへの攻撃性のない化学合成油(ポリグリコール系、ポリエーテル系など)や植物系の基油が使われます。シリコーンは耐熱性、安定性、ゴムや樹脂との相性も良いとされますが、金属対金属の潤滑には不向きとされ、樹脂対樹脂の潤滑に向くとされます。フッ素はいずれの面でも高い性能を示しますが価格が高価です。

② 増ちょう剤

増ちょう剤はオイル(基油)を抱えこんで半固体状態に保持する機能を担っています。なので、まさにグリースとしての特徴的な性能、耐水性、耐熱性、せん断安定性などを左右します。非常に乱暴ですが主な増ちょう剤の特徴をおおざっぱにグレード分けすると以下のようになり、カルシウム→リチウム→ウレアの順番に高級・高性能になっていきます。

  • カルシウム石けん  耐水性・安価大量使用 → シャーシグリース
  • リチウム石けん   耐水性・耐熱性・価格含めた総合バランス → シャーシ、ベアリング、その他ほとんどの一般のグリース
  • ウレア       さらに耐水性・耐熱性・総合バランス高 → 上位グレードシャーシグリース、高負荷ベアリンググリース、耐熱箇所用潤滑
  • ペントナイト     高耐熱 → ブレーキ鳴き止めルブ、耐熱箇所用潤滑

③ 添加剤

さらに、使用目的や使用環境に合わせて各種添加剤が配合されます。具体的には防錆、安定化、固体潤滑などの強化をねらって添加されます。中でも多いのは極圧耐性を上げるためにモリブデンやグラファイトなどの固体潤滑剤が添加されるケースです。一般的にモリブデングリースと呼ばれることが多いのでモリブデンを基油とする潤滑剤かのような印象を与えますが、モリブデンは固体(粉末)であり、鉱物油などを基油とするリチウム石けんグリースに添加されるのが一般的です。モリブデンを添加するねらいは、乱暴にいうと基油が受け持つ通常の潤滑状況を超えるような事態があったときに、モリブデンの固体潤滑機能でしのぐことをねらったものです(例えば、砂など異物の混入、基油の潤滑許容範囲を超えた衝撃、ギア同士のかじりなどの極圧発生)。普及している例としては、砂利を噛みこむリスクの高い重機・建機や衝撃をうけやすいFF車のドライブシャフトのアウタ・ボールジョイントなどに使用されます。なので、平常時の潤滑範囲はあくまで基油および増ちょう剤の性能に依存しますので表記が省略されていることが多いですが基油や増ちょう剤の質も重要です。また、極圧が発生したときには、そこにモリブデンが介在していなければ意味がありません。沈殿しやすい固体粉末であるモリブデンをどのようにして均一に潤滑部に付着させ、保持させるか、という技術的課題が出てきます。この辺は増ちょう剤の質はもとより、各メーカの独自技術に依存する領域のようですが、この点も品質・性能を左右します。同じ物性から、エンジンなどの組み付け用ルブにもモリブデンを添加したペーストが使用されます。ブレーキの鳴き止めグリースには振動や共鳴を吸収するクッション性と高耐熱性が求められることから銅粉などが添加されます。

■使い分け:

以上の各素材の特徴と給油脂箇所の環境を考慮した場合、標準的にそろえておくべきグリースはどのようなものになるでしょうか。 少ない種類で幅広くカバーすると考えた場合、以下のようなものを常備しておくのが一般的ではないでしょうか。

金属-金属一般  鉱物系の基油のリチウム系のシャシグリースもしくはベアリンググリース

金属-ゴム一般  ゴムを犯さない基油(植物油、ポリグリコール油)のリチウム系のラバーグリース

樹脂-樹脂一般  シリコーンを基油とするリチウム系の万能グリース

無駄に高い機能のグリースを使いたくない、という場合にはリチウム系のベアリンググリースとカルシウム系のシャシグリースを用意して、耐熱が必要な場所と不要な場所で使い分けた方が経済的かもしれません。 フロントハブのベアリングやロッドエンドのボールジョイントのグリースを全交換するといった場合、かなりの量が必要となります。 レース車両や高速巡航する大型トラックなどのフロントハブなど、さらに高い耐熱性が求めれれる場合にはさらにウレア系+添加剤の入ったシャシグリース・ベアリンググリースなどもあるようです。 あたりのついていないサラのパーツの組み込みや、異物の混入による焼きつきなどのリスクのあるパーツにはモリブデン配合のものも高級グレードとして商品化されています。 モリなんとか、という商品名となっていることが多いです。 この他、以下のような特定の作業をする場合には専用品を用意・使用するのが一般的です。

ドライブシャフトのボールジョイント モリブデンを添加したリチウム系グリース

ブレーキの鳴き止め   銅粉などを添加したペントナイト系グリース

その他注意点:

① 混ぜるな危険: 種類のことなるグリースを混和すると、性能が著しく低下することがあります。補充する場合には既存のグリースの種類とあわせる、もしくは全入れ替えが望ましいとされます。 また、同じ理由から、グリースの選択の際には基油や増ちょう際の情報についてある程度の表示のあるものが望ましいといえます。

②過ぎたるは及ばざるが如し: グリースの充填量は多すぎても少なすぎても悪影響が出ることがあります。フロントハブのベアリングは典型例で、ベアリング部分への充填はもとより、円周部の”たまり”部分にもグリスをつけておかないと発熱で粘度が下がったグリスが遠心力で周辺部に偏ってしまったり、劣化したグリスの補給不良を生じたりします。一方で過度の充填はもともと伝熱性の低いグリスの放熱を妨げ、帯熱の結果劣化を早めることがあります。ブレーキ関連もギア・シュウドウ部への過度のグリスがパッドやディスクに飛散すると制動能力を著しく損なうことがあります。

③ カップグリース: 上の文章内ではカップグリースはラバーグリースと同義で使いましたが、シャシグリースと同義語でカップグリースという呼称が使われることもあるようです。ややこしいですが全く別のグリースです。